こんなこと考えたことがあるんじゃないでしょうか?
「遺伝で才能って変わるよね?」
「お父さんもお母さんも運動神経が良くなかったら、子どもの運動神経も良くないよね?」
「野球選手の親を持つ子どもは良い遺伝子引き継いでるから上手いんやろうな」
誰でも1度は「遺伝的な優劣」を考えたことがあるんじゃないでしょうか?
今回はその「遺伝的な要因」についてお話していきます。
読み終えるころにはものすごくポジティブな考えになっているはずですので、最後まで読み進めてください。
また、1番最後に私前田祐二(元オリックスバファローズ投手)の遺伝子検査の結果を全て、100%包み隠さず書いた記事を貼っておりますので、最後までご覧ください(^^)/
経歴:
2009年ドラフト4位でオリックスに入団。
2015年に引退。
2017年からジュニアバッティングスクール福岡の代表に就任し、2020年9月にベーストピア株式会社の代表取締役に。(※2022年3月31日にJBS福岡オーナー退任)
活動:
・前田ベースボールアカデミー(MBA)運営
・オンラインスカウト広場「BASEBALL DREAMS」を運営
・専用アプリを使った動画分析指導
・直接指導(北九州市三萩野)
ぶっちゃけあれってどうなん??
才能とか向き不向きとかわかんの?
遺伝による能力の違いはあるの?
よく「才能がわかる」「スポーツの向き不向きがわかる」と呼ばれている遺伝子検査ですが、結論から言うと「遺伝子検査で才能なんかはわかりません」となります。
じゃあなんで「才能がわかる」というイメージが強いのかというと「そうやって売られているから」ということになります。
『じゃあ遺伝による能力の違いはないの?』
それは【あります】。
ただここで落ち込まないでください!!
その理由をしっかりと説明させていただきます(^^)/
遺伝子の種類~アスリート~
野球などのスポーツにかかわる遺伝子には数十種類ありますが、系統としてわかれるのは3つになります。
- 瞬発型
- バランス型
- 持久型
ここで質問なんですが、野球に向いている遺伝子型は上記3つのうちどれだと思いますか??
・・・
・・
・
正解は「どれでもいい」です。
それを証明するのにこんな話があります。
150km/h投げるプロ野球選手の遺伝子を調べたところ、予想なら瞬間的に力を爆発させるのが得意そうだから「瞬発型」となるはずですが、なんと「持久型」だった、という話。
またオリンピックに出るようなマラソン選手が瞬発型だったり、水泳選手も瞬発型が出たり、短距離走の選手が持久型だったりと一概に【遺伝子タイプがこれじゃないとダメ】なんてことはないっていうのが分かるかと思います。
遺伝子とはどういうもの?
そもそも遺伝子とは、人間の設計図であり絶対に「両親から半分ずつ受け継ぐもの」です。
ただし人間の必要なエネルギーを作るなどの重要な役目を担う「ミトコンドリア」は100%母性遺伝だといわれています。
ではここで例を出すので一緒に考えてみてください。
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陸上部に入部したがっているA君・B君がいます。
そんな2人が同じ日に入部しました。
なんと2人は身長も体重も体脂肪も入部した日に測ったタイムも同じでした。
ではこのA君・B君が半年間、同じ練習・同じ食事・同じ睡眠時間などすべて同じ行動をとったとしたら半年後のタイムは同じでしょうか?
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考えなくてもわかると思いますが、これは同じにはならないですよね?
同じチームに所属していて同じ練習をしても伸び方が違うのは当たり前です。
ではその差は何か?というと【遺伝子】です。
遺伝子が違うので持って生まれたものが違うということになります。
『じゃあ結局才能に勝てないの?』
そんなことはありません。
自分の遺伝子がどういう性質を持っているのかを知っておけば勝てる可能性があがります。
そもそもアスリートにおける競技力の遺伝率は次の通りです。
66%:遺伝子 34%:環境
『66%が遺伝子やったら、結構無理じゃない?』
確かに比率でいえば遺伝の影響は大きいですが、それよりも34%の環境の差は思っているよりも大きいことに着目するべきです。
その根拠となる例を出しますね。
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車で例えるとして、『遺伝子=車の設計図』、『環境=車の乗り方』です。
遺伝子=車の設計図 環境=車の乗り方
設計図に問題があれば先天的な、乗り方に問題があるなら後天的なものといえます。
では全く同じ車種、ここではJEEP(ジープ)にしましょうか。(私が大好きなのでw)
同じJEEPを同じ日に買った2人。1人は急発進、急ブレーキをするスピード狂の「ペペさん」と、もう1人は、安全運転第一主義の「カポさん」がいるとします。
このスピード狂のペペさんと安全運転のカポさんの数年後のJEEPの状態は同じでしょうか??
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人間でも上記と全く同じことがいえます。
車の状態、例えば壊れやすくなるのは確実にスピード狂のペペさんです。
環境が違うだけでかなりの差がでるのは人間も全く同じであるということです。
下記に遺伝的要因・環境要因によるケガや病気を表した図を貼っておきますが、左側の【外傷・感染症】は遺伝的要因0%、環境要因100%といった見方になります。
参考程度に眺めておいてください。
『環境が大事なんはわかったけど結局どうすればいいの?』
その秘密は遺伝子検査が握っていますが、気を付けなければいけないポイントを押さえておくことが大切です。
遺伝子検査について
近年は遺伝子解析技術の向上が目覚ましく、その結果検査コストも下がってきているので、誰にでも気軽に受けられるようになってきています。
そもそもヒトの体には、30億塩基対という数があって、遺伝子の数は20000~30000個あるといわれています。
その塩基にはA(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)というものがあります。(覚えなくても大丈夫です)
塩基と遺伝子は似ているようで違うもので、塩基対の塊を遺伝子と呼ぶって思ってもらえばOKです。
人間は99.9%同じ遺伝子構造をしており、アジア人と欧米人でも99.7%が同じだといわれています(諸説あるかと思いますが)
ただ30億の0.1%は300万なので、0.1%の違いといってもかなり違いますよね。(塩基多型=SNPという)
なので、この違いを検査で発見して、人それぞれの体質に合ったメニューを提案することが大切となります。
ただし、遺伝子検査会社に頼むと「塩基」を教えてくれるだけで1つの遺伝子情報を読み取れないことがあります。
遺伝子の違いを検査するのに、塩基を調べただけだと何回か同じ検査をしたら、おそらく検査した分だけ違う結果がかえってきてしまいます。
では遺伝子検査のことがだいたいわかったので、次に誰でも簡単に検査できる小売用遺伝子検査キット(通販とかで買えるもの)について、詳しく見ていきましょう。
小売用遺伝子検査キット(DTC遺伝子検査キット)について
今YouTuberも良く紹介している小売用の遺伝子検査キット(DTC遺伝子検査キット)は、お買い求めしやすい値段で誰でも受けることができます。
特徴としてはこんな感じです。
- 数百項目という情報を教えてくれる
- 肥満タイプになりやすいかどうかなどダイエットに使える
- 速筋タイプ・遅筋タイプがわかる
など魅力的なうたい文句が並べられています。
しかしながらそのほとんど全てが、検査精度の低さや科学的根拠がないことが問題視されています。
下記の画像は経済産業省が出している情報です。
ここでは小売販売されている遺伝子検査キットを危惧する文言が並べられており、日本医師会も警告を出していることがわかります。
また肥満タイプなどを判別するといわれている遺伝子は全メーカーで取り扱っていますが、あれには科学的根拠はほとんどありません。
「ほとんど」というのは実際今の遺伝子学の見解としては「遺伝的要因があるにはある」くらいのレベルで、しかも肥満遺伝子タイプとBMI指数(肥満型か痩せ型かを見る指数)の関連を調べた研究者の論文では、「3600人の遺伝子とBMI指数を比較した結果、関連性を見つけることはできなかった」と述べられています。
結局いまいちわかっていないってことです(^^;)
2008年にGINA(遺伝子情報差別禁止法)という「遺伝子の型で差別してはいけませんよー」という法律が作られたくらい最先端を走るアメリカでは、DTC遺伝子検査キットについて2019年に販売禁止されています。
ACE(エース)という遺伝子
さらに「DTC遺伝子検査について鵜呑みにしてはいけませんよ」というのに信ぴょう性を持たせる情報として、【ACE(エース)】という遺伝子についてお伝えさせていただきます。
この【ACE】は瞬発力や持久力に関連する遺伝子として活用されており、3種類に分類されます。
Ⅱ型・ID型・DD型と言われ、Ⅱ型は持久系、ID/DD型は瞬発系とされていました。
しかしヨーロッパ人は上記タイプになるんですがアジア人では全く逆となります。
アジア人では【Ⅱ型が瞬発系・ID/DD型は持久系】となることがわかってきました。
『だから何?』
察しのいいかたはお気づきかもですが、小売用遺伝子検査キット(DTC遺伝子検査キット)では、ヨーロッパ人に向けての情報のまま使われていることがあるということです。
これをそのまま鵜呑みにしてしまえば、全くの逆の情報なので、効率の悪い練習をしてしまったり、最悪ケガに繋がる可能性も否定はできません。
遺伝子検査に求められるもの
遺伝子検査に求められるものの結論としては下記のようなことがあります。
- 検査精度
- 正しい知識
- 遺伝子学の識者に認められている
- 遺伝子検査だけを売っていない
- 遺伝子検査で導き出された情報をもとに、体質に合わせたアドバイスをしている
簡単にいうと遺伝子検査は血液検査と同じです。
血液検査には素人が見てもわからないような名前と数値がバーっと出てきます。
それを専門家であるお医者さんが見て、患者さんにアドバイスを送りますよね?
遺伝子検査も同じで、検査結果を見て、さらに生活習慣も加味したうえで専門家がアドバイスしないと意味がありません。
遺伝子型が瞬発系であっても持久系であっても、その自分の体質を知ることで超効率的で効果的な練習や過ごし方をすることが大切なので、遺伝子型で一喜一憂してはいけないということです。
遺伝子検査で調べられること一覧
では検査でわかることをバーっと書いていきます。
- 筋繊維のタイプ(速筋 or 遅筋)
- 瞬発力の型
- 持久力の型
- 筋損傷のタイプ
- 筋肥大のタイプ
- 疲労やストレスのタイプ
- 体脂肪について
- 骨・軟骨・関節のタイプ
- 睡眠の質
など様々な項目を調べられます。
『いやいや、さっきDTC検査キットあかんっていうてたやん』
確かに日本医師会や経済産業省、アメリカ合衆国が推奨していませんでしたし、さっきも述べたように全く真逆の結果を出されたりしても嫌ですから、私も推奨はしていません。
しかしながら遺伝子検査に関してはしてもいいと考えています。
じゃあどうすればいいのか?
DTC遺伝子検査のほかに【業務用の遺伝子検査】というものがあります。
これは一般的には売られていないので代理店で申し込む必要があります。
アスリートは特に、このような情報を知って、自分の体質にあったトレーニングをしていくべきだと思いますし、それに伴って生活習慣も見直していけば超効率的にレベルが上がる可能性が高くなります。
私個人的には、もっと遺伝子学が発展していけば、生まれた瞬間に遺伝子検査をする時代が来ると思っています。
まとめ
遺伝子検査は私個人的には子どものときにしておくべきことかなと思っています。
業務用の検査・カウンセリングなどは少し料金も高いですが、遺伝子という変わらない情報を先に知って、わが子が楽しい思いをするのなら安いかなと。
もちろん大人になってから「自分を変えるために筋トレを始めた」とか「もっとレベルを上げたい」「ケガしない体になりたい」などレベルアップを図るために遺伝子検査を行うのも超おススメです。
ただし、小売用の通販とかで買えるような検査だけはしないようにしましょう。
遺伝子検査をするメリットとしては次の通り。
- 自分の筋繊維の情報を知って、効果的な練習方法を学び、超効率的に練習ができる
- ケガに対するリスクレベルがわかるので、どういうストレッチをすればいいかを学び、ケガの少ない競技生活を送れる可能性が高まる
- 疲労やストレスリスクを知れるので、どういう生活が自分に合っているかがわかり幸福度が上がる
- 睡眠の質やリズムもわかるため、より質の高い1日を過ごすことでコンディションを整えることができる
こういうことを知ったうえで行動するかどうかで人生は変わります。
検査結果に一喜一憂するんじゃなく、自分の特性を知ったうえでどのように行動するかをかんがえましょう。
筆者の遺伝子検査結果について
私自身も、業務用遺伝子検査をおこなってみました。
日本で唯一の業務用遺伝子検査の「IDENCIL」という遺伝子を使ったカウンセリングツールの代理店に自ら登録申請して検査キットを発注しました。
説明するからには自分でやらないとダメですからね!!
まずは運動能力スペックをご紹介します。
筆者のスペック紹介
中学生から野球を始め、2009年から2015年までをプロ野球選手の投手として過ごしました。
180センチ68キロのスレンダー体型(いい風に言ってるけどガリマッチョなだけw)の左投げ左打ちです。
球速はMax148km/hで先発・中継ぎ・ロングリリーフなど何でも屋でした。
足の速さは50m走6秒1とか2で、遠投は105m、スクワットなど筋トレ系は苦手で110キロくらいしかあげれませんでしたね。
こんなスペックの私の遺伝子結果の予想はどう思います?
- 球速も足もそこそこ速いから【瞬発系】
- 先発もできてるし【持久系】
- 何でも屋やったし【バランス型】
自分でも検査結果が待ち遠しかったです。
長くなってきたので、結果に関しては別の記事で書きますね(^^)/
予想だけして楽しみに待っててください。
あ、検査で分かる項目だけ下記に羅列しておきます。
- 筋繊維(速筋・遅筋)
- 瞬発力
- 持久力
- 筋損傷
- 筋トレ効果
- 疲労・ストレス
- 体脂肪
- 骨・軟骨・関節
- 睡眠の質とリズム
それでは検査結果をまとめた記事をご覧ください。
失礼します。