バッティングのスイングの型って結局どれがいいの?【ダウンスイング・レベルスイング・アッパースイング(バレルスイング)】

こんにちは!

現役野球プロコーチで毎年300人以上を個別指導しています、元オリックスバファローズの前田祐二です。

小中学生を基本的に見る機会が多く、県選抜、市選抜、地区選抜に選ばれるような選手を多数輩出しております。

今回はバッティングのスイングの型って結局どれがいいのか?をお伝えしていきます。

バッティングのスイングの型って結局どれがいいの?【ダウンスイング・レベルスイング・アッパースイング(バレルスイング)】

スイングの形って色々ありすぎてどれがいいのかわからなくなりますよね?

しかも今の時代は情報過多の時代ですから理論もおおく結局どれがいいの?って迷ってる人も多い印象です。

今回の記事を読むと、基本の型となる【ダウンスイング・レベルスイング・アッパースイング(バレルスイング)】についてそれぞれのメリット、デメリットを理解でき、その結果自分自身でどの型がいいのかを選べるようになります。

それでは詳しく見ていきましょう。

ダウンスイング

まずはよく少年野球の指導の現場で聞かれるダウンスイングの典型「上から叩け」について考えていきましょう。

「上から叩け」の表現の出どころは「バットを最短距離で出せ」からでしょう。

よくプロ野球選手が「最短距離で出すイメージ」を語っていますし、昔はテレビ放送で世界の王貞治氏がダウンスイングしている映像が流れた影響も少なからずあるはずです。

でも実際の映像を見ると、プロ野球選手も王貞治氏もダウンスイングなんかしていないんですよね(^^;)

では「ダウンスイングはメリットがないの?」と思われるかもしれませんが『バットを内側(グリップエンド側)から最短でインパクトポイントに出す』という動作に関していえば、ダウンスイングが最強です。

この「感覚」を覚えるのには一番いい練習になるでしょう。

ですが、ダウンスイングは文字通り上から下に振るスイングの型なので、高めはたたきつけてしまいゴロになり、低めに関していえば当たらないか強烈なバックスピンがかかったポップフライになるでしょうから試合では使わないほうがいいでしょう。

その理由としてこんなデータをお見せします。

打球種別打率長打率
フライ0.2700.851
ゴロ0.2460.270

これは2018年のメジャーリーグでのフライとゴロの成績の比較になります。

ゴロはヒットも少なく長打の確立も低いので、ダウンスイングをするとチーム自体の成績が下がってしまうとデータが証明しています。

まだ意固地にダウンスイングを推奨して教えているなら今すぐやめてください。

そしてダウンスイングを強要させられるようなチームに所属しているなら今すぐチームを変えましょう。

レベルスイング

レベルスイングとは「地面と平行」に振るスイングのことで、近年の日本では多く指導されるようになってきたスイングの型ですね。

レベルスイングの最大のメリットは【ボール軌道にバット軌道が長く乗るのでバットの芯に当てやすい】ことでしょう。

以前このようなツイートをさせていただきました。

東京ヤクルトスワローズ公式TwitterをRT

この動画にでてくる現ヤクルトスワローズの青木宣親選手(2020年現在)はレベルスイングのお手本の選手で、だからこそ毎年素晴らしい成績を残されています。

ではレベルスイングのデメリットはなんでしょうか?

それは初心者や知識の浅い選手はちゃんと(レベルスイングの根本理由から詳しく)指導してもらわないとドアスイングになってしまいがちになることです。

ドアスイングとは、バットを振りにいったときに両腕がホームベースのほうに伸びてしまい頭が先に前を向いて、バットの先端(ヘッド)から出てきてしまうスイングです。

こうなってしまうと地面と平行ではあるけど、バットがインパクトポイントまででてこないので打てません。

そうならないためには、バットを握っている上の手(トップハンド)の肘を内側(おへその前)に入れてきて、その時にトップハンドの掌が空を向いている状態になることが重要になります。

その練習方法が「逆手スイング」です。

実際の練習方法がこちら。

この肘の入れ方、出し方を練習してレベルスイングをマスターしてくださいね(^^)/

アッパースイング

ダウンスイングとは真逆の下から上に振り上げる打ちかたのことを言います。

メジャーリーグで今流行りのバレルスイング(フライボール革命の打ち方)もどちらかというとアッパースイングの部類に入ってくるかと思います。

ただし、ゴルフのように地面すれすれから真上にかちあげてくるようなスイングは野球では全く打てませんので気を付けてください。

ここからはフライボール革命のバレルスイングは実際有効なのかどうか?を一緒に考察していきましょう。

フライボール革命におけるバレルスイングについて

まずはフライボール革命について説明していきます。

MLB(メジャーリーグベースボール)では昔からデータの活用が頻繁に行われてきました。

選手1人1人にiPadなどのタブレット型IT機械を配り、対戦チームの情報をそこに一斉送信し、選手個人がそれを見て対策をたてるといったものです。

メジャーリーグのテレビ中継を見ていると、キャッチャーがリストバンドのあたりから紙を出して打者データを確認している場面なども見ることができます。

で、そのデータ収集の際に『ゴロよりフライのほうが圧倒的に成績出てるんじゃね?』ということに気づいた、というのがフライボール革命の始まりです。

じゃあフライを打つためにはどんな打ち方をすればいいのか?ってことでたどり着いたのが【バレルスイング】と呼ばれるバッティングの型です。

ではそもそも「バレル」とはなんなんでしょうか?

バレルとは?

フライ打球の有効性が明るみにでてきましたが、ただ漠然とフライを打ってもアウトになってしまいます。

そこで考え出されたのが「バレルという指標」です。

バレルとは打球速度と打球角度の組み合わせで構成されるゾーンのことで、そのバレルゾーンに入った打球は【打率5割・長打率1.500以上】になります。

出典「MLB.com」

上記の図の赤いゾーンがバレルゾーンですが、残念ながら誰でもそれを打てるってわけではないんです。

バレルになるには打球速度が最低でも158Km/hが必要とされていて、打球角度が26度~30度の範囲で打たないといけません。

もちろん打球速度が速くなるにつれてバレル範囲は拡大されていきます。

ここまで説明すると『メジャーリーガーみたいにでかいから言えることで日本人には向いてないんじゃないの?』という疑問が出てきますよね?

実際僕もその中の1人です。

ではバレル最低条件の打球速度158Km/hを出すために必要な体格はどうなのかを見ていきましょう。

バレルスイングをするために必要な体重は?

打球速度が158Km/hを出すためのスイングスピードは130Km/h前後とされていて、このスイングを行うために必要な筋肉量は約65Kgとされています。

体脂肪率が10%だとすれば体重は71.5Kgで約72Kgとなります。

「え?結構いてそうやん」

そうなんです。

僕も計算してみてビックリしました(^^;)

ただし、スイングスピードがこれだけ出ていてもバットの芯にあてないと打球は速くならないのでそこだけは注意してくださいね。

じゃあアッパースイング(バレルスイング)が1番いいの?

バレルスイングについてメリットばかり書いてきたので、バレルスイング信者になってしまってるかもしれませんが、もちろんデメリットも存在します。

それは三振が多くなる、というデメリットです。

バレルスイングは下から上に振り上げるので、高めのコースが打ちづらくなるため、そこを上手く使った配球で結局ワンバンになる球を振ってしまう、これだとどうしても三振が増えてしまいます。

ピッチャー目線でいうと、そこさえ気を付ければ抑えられるという自信が芽生えますから、怖さだけではないのでメンタル的にも安定します。

じゃあどういうバッターが1番嫌かというと、芯に当てるのが上手く三振しないバッターです。

おススメ!!ボール軌道に対してのレベルスイングが最強

ここで僕が1番おすすめするバッティングのスイング型をお伝えします。

それは【ボール軌道に対してのレベルスイング】です。

もちろんバレルスイングでも良いんですが、バレルゾーンを意識するあまりボール軌道から外れてスイングしてしまう可能性が高いです。

このおすすめスイングをするためには、基本はレベルスイングを意識し、通常よりも肘を内側に強く入れて、ボールの軌道にスイング軌道を合わせていくのが大切で、これができればヒットとホームランどちらも打てる型だと考えています。

実際の僕のスイングです。

肘を強く内側に入れるバレル要素を含んでいるので高めが少々難しくなりますが、練習していけばすぐに対応できる範囲です。

練習方法は、肘を入れる「逆手スイング」をメインにしていけば、あとは基礎的な動きや股関節に体重を乗せる練習をすれば大丈夫です。

バッティングの基本的な動きに関しては「バッティングを上達させるためのコツ3選」をご覧いただければ詳しく解説させていただいています。

記事本文中に出てきたツイートは、僕が毎日更新している「野球指導系Twitter」になります。

バッティング・ピッチング・栄養・メンタルなどに関してつぶやいていますので、興味がありましたらご覧いただき気に入ればフォローをお願いいたします。

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